【コンサルティング】「働きやすさ」という名の罠

寿木 藍

 スタッフにとってどんな職場が最も働きやすいと感じているか、経営者、リーダーなら一度は考えられたことがあると思います。今、頭の中で何が思い浮かんだでしょうか。

スタッフの定着はどこの組織も課題にしていることだと思います。スタッフがより長く定着してくれるためにも、働きやすい職場作りは経営者のやることだ!と職場環境を良くしようと、懸命に努力されている院長が本当に多いです。このような院長に出会うと、なんて素敵な院長なんだろうと感動してしまいます。さぞかし、スタッフは大満足で退職者もなく、順調な経営ができているであろうと思うのですが、実はそうでもない現実があります。

働きやすい環境を提供しているのに、なぜ退職者がでるのか

 一見不思議に思えるこの状況。働きやすいように院長は必死に努力しているのに、スタッフの退職は止まらない。それはなぜか?答えは簡単です。院長の考える「働きやすさ」とスタッフの思う「働きやすさ」が全く違うからです。ここのすれ違いに気づかないと、厳しい言い方、有難迷惑にもなりかねないということです。

このすれ違いは幾つかのパターンが存在します。その中で私が遭遇した3つのパターンを紹介します。

パターン1:言わぬが優しさと思い、スタッフから出た意見をなんでもOKしてしまう。
 せっかくスタッフが出してくれた意見だし、スタッフ各自がやりたいことをやらせてあげたいと思う気持ちはわかりますが、なんでも院長がOKを出してしまうのは危険です。スタッフは院長の意見も聞きたいものです。常にすんなりOKを出すことが、優しさではありません。

例えば、何でもやってみたらいいんじゃない?と指示したことが、A子さんには「君の言う通り、赤色でいいよ!」と言い、B子さんには「君の言う通り、青色でいいよ!」と言っていることがあるのです。これ、実はA子もB子も同じものを指しています。なので実際2人が作業に入ろうとしたとき、「え?私は院長から赤で良いっていわれたよ」「うそだ!私には青で良いって言ったもん」と問題が勃発するのです。2人の意見を尊重したつもりが、返って信頼を無くす行動になってしまうこともあるのです。

パターン2:褒めるのみで、注意は一切しない。
 褒めて伸ばすことはとても大事だと思いますが、それだけではスタッフ満足にはなっていません。ちょっとしたことでも、注意すべきところではしっかり注意する、叱るという姿勢がなければ、組織は締まらないということです。締めるところはしめないと、空気が緩んでだらけてきます。そのようなだらけた空気を、居心地が良いと思わないのは、優秀なスタッフです。なので優秀な人ほど、組織から去っていくでしょう。

パターン3:関係がフラット過ぎて、上下関係が一切ない。
 スタッフ皆が伸び伸び意見が言い合えるようにと、組織の中でまったく上下関係がなくフラットな関係すぎると、役職を持つスタッフは存在意義を感じにくくなってきます。このパターンでよく起こる問題は、新人スタッフが院長に平気で意見を言ったり、組織内のことを仕切りだすことです。スタッフそれぞれにも性格がありますので、自己主張の強いスタッフの意見が通ってしまい、キーマンが存在意義を感じなくなり、辞めてしまうということが起きてしまいます。

こんなになんでもやらせてあげたのに、こんなに怒らず優しく接していたのに、こんなになんでも意見を言える環境にしたのに・・・気持ちはわかります。

上記3つ、どのパターンも院長はスタッフのために良かれと思いやっていた行動が、スタッフにとっては良いことではなかった出来事です。「働きやすさ」の追求をしているのに、人が定着しなかったり、問題が減らないのであれば、今考えている「働きやすさ」にずれが生じている可能性大です。

ただ、良かれと思ってやっている行動や思考は、自分で気づきにくいもの。まずは一番近い存在のスタッフから、「本当に働きやすい環境なのか」確認をとってみても良いかもしれませんね。働きやすい職場は、院長だけが提供するものでもなく、スタッフと互いに創り上げていくものです。

ライン

☆ 講演・セミナー研修のご依頼や、ご意見やその他お問い合わせは、こちらからどうぞ♪

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です